分散しながら絶対利益を狙う

元本保証がないFXは、余剰資金で始めることが不可欠です。それを踏まえたうえで、まず、資産形成のための基本的な考え方をご紹介します。

自分のお金を増やすことを考える場合、FXに限らず、ひとつの金融商品に全額を投資することは避けたほうが賢明です。ひとつの金融商品に集中して投資すると、何らかの要因で投資対象の価値が下落した場合、投資資金がほとんどなくなってしまうからです。それを避けるために行う投資方法を、分散投資と言います。

分散投資は、投資資金を複数の金融商品に分散して投資する手法で、投資の王道と言われています。

たとえば、すべての財産を日本の銀行の定期預金に預けているだけでは、現在のゼロ金利の中で財産を増やすことは難しいでしょう。かと言って、すべての財産を株式だけに使ってしまったら、サブプライムローン問題やリーマンショック直後のように、財産が激減してしまう恐れがあります。また株式もひとつの銘柄にお金を全部注ぎ込むと、その銘柄がもし倒産したらすべてを失います。逆に、100銘柄に分けて投資すれば、株価の上下は何社ものの値動きによって平均化され、価格変動の幅は抑えられます。

 

 

勝てないFXにならないための分散投資は、どれくらいの期間で運用するのか、また目指す収益率によって、投資する金融商品の比率が変わります。ここで、長期運用の代表的な資産である年金資産のポートフォリオを見てみましょう。ポートフォリオとは、株や債権などの金融資産で構成される保有資産のことを指します。

企業年金は、国内債券、国内株式、海外債券、海外株式、その他(現金)に分散投資しています。さらにそれぞれの資産の中で銘柄を分散しています。

たとえば国内債券は、国債だけでなく、地方債や社債など、さまざまな種類の債権に分散します。さらにそれぞれを短期債券・中期債券・長期債券といった時間分散や、社債にいたっては企業銘柄も分散させています。

ここで重要な点は、株式と債券というほぼ正反対のリスク特性を持つ資産に、分散しているということです。また、為替リスクの有無という違いを持つ、国内資産と外国資産にも分散している点も大切です。このような投資方法を、国際分散投資と言います。

投資先を国際分散し、投資資産ごとに商品を分散することで、個々の資産リスクは高くても相関係数が働き、リスクを抑えながら安定収益の確保を目指すことができるのです。

たとえば、国内債券だけに投資した場合、そのリスクは年率5.4%、期待リターンは年率3.0%であることを指します。これは、あくまでも国内債券全体の平均値としてとらえてください。一方、株式は債券に比べて、投資リスクも高い分、狙うリターンも高いことがわかります。

相関係数とは、2つの資産間の相関(類似性の度合い)を示す指標です。原則単位はなく、-1から1の間の実数倍をとります。1に近いときは、2つの資産の間には正の相関があると言い(正比例=分散にならない)、-1に近ければ負の相関がある(反比例=分散になる)と言います。0に近いときは、相関があまりないことを表します。

 

 

海外債券と海外株式の相関係数を見てみましょう。この2つは、0.56と正の中度の相関があることを指します。つまり、海外債券で収益が上がるときは、海外株式でも収益が上がるだろうと予想されます。

一方、国内株式と海外債券は負の弱い相関となっています。これは、この2つの資産を同時に保有した場合、どちらかの資産が損失を出したとしても、片方の資産は収益を上げる可能性があることを指します。

たとえば、国内債券25%、国内株式25%、海外債券25%、海外株式25%の均等分散投資をした場合、年間の目指すリターン(収益率)は約6.5%となります。その場合のリスクは7.2%です(いずれも1998~2008年の各資産の指数から実績を算出)。、個々の資産で考えれば、リスクは高い半面、期待リターンはさほど高くありませんが、分散して組み合わせれば、リスクを抑えてより高く安定的な収益を目指せることがわかると思います。

いま年金の運用は、損失を出した場合、それがそのまま企業の損失と見なされます。そのため相場の上げ下げに関係なく絶対収益を狙えて、株式や債券と相関性のないヘッジファンドや商品ファンドなどのオルタナティブ投資を一部組み入れるようになりました。

個人投資家も、当然、絶対収益は狙いたいところでしょう。そこで、国内商品やほかの海外商品にFXを組み合わせて分散投資するのです。FXは、リーマンンショック後のように、株式や債券がいっせいに下がった中でも、売りから入れる特徴から、絶対収益を狙うのに効果的な金融商品と言えます。