経済指標で市場の動きを見る

景気やインフレなど、各通貨のファンダメンタルズを見極めるために、毎月心期的に発表される経済指標は、為替相場の方向性を見ていくうえでも大切なものです。

通常、世界中で市場がもっとも注目するのは、アメリカの経済指標です。なかでも、毎月最初の金曜日に発表される雇用統計が有名です。これらの重要な指標については、アメリカをはじめ世界中のエコノミストが競って事前に予想を発表します。個人投資家は、FX会社から提供される為替情報で確認することができます。さらに発表が近づくにつれいろいろな噂まで出て、その噂で市場がその方向に動くこともよくあります。

指標を見る場合の注意点をあげておきましょう。

実際に発表される数字が、市場の事前予想とほぼ同等の場合、市場はあまり反応しません。つまり値動きの変動があまりありません。それは、その数字を予想して、すでに発表前にポジションができているからです。予想された数字の分は、すでに事前取引で織り込まれています。これを「織り込み済み」と言います。

たとえば、アメリカの雇用統計で失業率が9.5%と前月の10%から大幅改善される数字が予想されていれば、その改善部分0.5%相当のドル買いポジションがすでにできている状態となり(ドル高)、実際の発表された数字が予想どおり、9.5%であればあまり反応しません。

 

 

逆に発表直後に値動きがないと市場が確認したら、逆にドルが売られる可能性が高くなります。なぜなら、発表直後ドルの値が跳ね上がるだろうと短期的視野でドル買いポジションを作成した人が、上がらないと見るやいっせいに売り側に回るからです。いわゆるポジション調整の動きです。

数字発表直後、市場の反応があまりなく、その後のポジション調整の動きもなかったのに、しばらくしてその内容が吟味され、長期的観点から数字が評価されて相場が本来反応すべき方向に動くこともあります。

先ほどの場合であれば、予想どおりの9.5%が出たあと、内容を見ると非農業部門就業者数の前月分が大きく上方修正されており、長期的にアメリカの雇用は改善傾向だろうと判断されれば、時間がたってからドルが買われていくということです。

もちろん、予想された数字の方向性とはまったく違う数字が発表され(サプライズと呼びます)、発表直後大きく値が飛ぶことのほうが実際には多いのが実情です。

さらに、瞬時にレートの大台が変わることもありますので、注意が必要です。たとえば、発表直前にドル/円のレートが1ドル=91.50円あたりで推移しており、その後サプライズの発表があった場合、発表直後の初値が1ドル=90.50円近辺だったりすることはよくあります。

どんな数字が発表されて市場がどう反応し、たとえその値動きが予想外の動きだったり、自分の解釈と違ったりしても、まったく関係ありません。それが市場の実際の判断・解釈なのですから。予想は、あくまでも予想と割り切りましょう。数字がどうだったか、ということより、それによって市場がどう反応し動いたか、ということが大切です。そして、値動きについていけばいいのです。

 

 

個人投資家には、経済指標の数字を予想して結果にかけるような発表をまたいだ大口の短期売買は勧められません。サプライズが起こった直後の値幅は想像以上の値動きになったり、流動性も極端に枯渇するので、損切りしたくてもなかなかできないことがあります。もしできたとしても、思った以上に悪いレートで決済される可能性が高いのです。何も経済指標の数字でギヤンプルする必要はありません。

重要経済指標の前には、該当通貨のポジションは決済しておくか、よっぽど利益が乗っているポジションだけにするなど量を抑えて保有することをお勧めします。発表されてから新たに取引に参入しても、まったく遅くはありません。サプライズのあとは、得てして値動きが新たな相場展開の幕開けとなったり、新たなレンジ形成へと動いたりするものです。

発表直後の値動きを見ながら方向を決め、チャートポイントを押さえて相場に参入すること、取引参入や損切りの仕方など、取引手法を変える必要はありません。発表後だからといって、特別の取り組み方法はないからです。